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第8回 -「大人の泥遊び」−
 十数年前、ローマ留学中にいつも指導教官が言っていました。「学者は、現場を持ちなさい」と。
 
 確かにその教官は、夏休み、ガリラヤ湖畔の町カファルナウム(イスラエル)の発掘現場で「土」を掘っていました。私も居候しました。





 「手洗いと言えば、いつも土にまみれた母の手を思い出します。年中、田畑にはいつくばっていた農民の手は、岩のようにふしくれだって、つめと指の間には黒々と土のマニキュアが施されていたものです。

 土にはどうやら人間の体にピッタリの消毒作用があるらしいのです。





 今、花粉症などのアレルギー体質が問題になっていますがその原因の一つが衛生環境が整い過ぎて、菌がなくなったために、体内に育つ抵抗抗細胞が発育しなくなったというわけです。かつては砂遊びや土いじりをして泥まみれとなり、そこ潜む菌たちといわば共生して、逆に体を整えていたのです。」
私の親しい神父さんが教えてくれました。


                              園長 原田 豊己神父






 

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