「ひさの星」
昔、秋田の きたのはずれ、
かづの というところに、ひさという
おなごわらしが おってなあ。
そう、としは 十だったべか、
十一だったべか―
ひさは誰かの家に行くと、みんなの靴をそろえ、最後にそっと座るような女の子。
ある時、犬にかまれそうになった赤ん坊を身をていしてかばって怪我をしても誰にも何も言わず、誤解される女の子。
ある夏は大雨で、川に落ちた子を助け、自分は川に沈む物語はなんとも悲しさを感じさせます。
神がいるなら、「なぜ、こんなよい子を助けないのか」とさえ思ってしまいます。
村人は結局、ひさを見つけることはできませんでした。
ひさが見えなくなった日の夜から、雨はあがり、東の空にあおじろい星がひとつ、輝きはじめます。
村人はその星を見るたびに「今夜も、ひさの星がでている」と言いあったそうです。
斉藤隆介さんの文章に、岩崎ちひろさんが素晴らしい挿絵を書いてくださった「ひさの星」(岩崎書店)という絵本の物語です。
11月カトリック教会は古来から「死者の月」として、この世の生活を終え天国にいる人たちを追悼します。
無名の人々が、世界の歴史の中で人知れず善行のかなに命を落としてゆきました。
冬空に輝く星を見て、私たちはそのような人々を思い出したいものです。
園長 原田 豊己神父
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「ひさの星」
岩崎書店発行
岩崎ちひろ・絵
斉藤隆介・作 |