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第5回 −「清貧の思想」−



1月の園だよりで中野孝次さんのことを書いたところ、幾人かの方から問い合わせをいただきました。

中野孝次さんは1925年生まれ、国学院大学教授を経て小説・評論・随筆翻訳などをされています。

特に、愛犬とのことを綴った「ハラスのいた日々」は、多くの人に共感を与えました。


 1992年には「清貧の思想」でバブル経済に踊った日本人を痛烈に批判し、人間の品格の問題を提起しました。その中で、和洋の思想家、宗教者を紹介しています。

 「清貧とはみずからの思想の表現としてのもっとも簡素な生の選択であると言いかえることが必要であった。現に貧困に苦しむ人の多い国では、だれもがまず充分な所有をこそ欲し、清貧などという話に耳を傾けてもらえなかったからだ。」


 彼によれば、清貧とはたんなる貧乏ではないし、いわんやケチとは区別されなければなりません。それはみずからの思想と意志によって積極的に作りだした簡素な生の形態であり「存在すること」に関わる選びなのです。


 教育基本法の改定が言われ、「愛国心」という言葉で教育が画一化されようとしています。
文化、思想は、「清貧」のように人々が選択する各自の生き方から生じるもので、教育はその選択の幅を拡げるためにあると考えます。                 


 園長 原田 豊己神父





 


 

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